一般的に、タンスを買う時にはデザインやカラーはもちろんですが、あとはサイズと値段を見ることが多いと思います。
確かにその通りなんですが、もっとポイントを押さえて比較してみれば、納得のいく良い買い物ができるんです。
そこで、家具製造メーカー直伝の「プロが教える!チェストの選び方」をご紹介いたします。
Check Point1引き出しの構造
まず絶対に見て欲しいのが、引き出しの構造です。お勧めするのは「箱組」という構造。画像の矢印にご注目!!
前板に箱状の引き出し内部材がネジ留めされています。対して箱組でない引き出しは前板に「コ」の字状の引き出し内部材が付きます。
箱組の場合は前板と引き出し内部材が「面」で接合されているのに対し、箱組でない場合は「線」で接合されます。
※ただし高級タンスなどでも、前板部分と引き出し内部材が一体で作られている場合もあります。(右端画像)
Check Point2引き出しの底板
タンスが壊れるケースとして2番目に多いのが、底板が抜けるということです。引き出しの底板が抜けないような構造としては、底板の取り付け方が大変重要です。取り付け方の中でも「ベタ底」という構造は良いです。
普通、引き出しは底板がちょっと上げ底になっていて、引き出しの側板と底板には数ミリの段差があります。
しかし、ベタ底の場合は完全にフラットのため底板が抜ける心配がありません。
また総地板仕様(チェックポイント3)の構造の場合、引き出しの開閉もスムーズだし、中の衣類を傷める心配もありません。
あともう一点。底板の厚みが厚ければ厚いほどより頑丈な底板といえます。
Check Point3総地板仕様
「総地板仕様」とは、地板が奥の壁板まである構造です。(壁板から1cm〜2cm程度空いている地板もありますが、これは空気抜きの役割となります。)
タンスの引き出しを全部抜いた状態ですが、棚のような感じでしょ?
タンスを買う時に引き出しを抜くことなんてほとんどないと思いますが、ここが重要で本体の強度や密閉度また、底抜けの原因に大きく左右されます。
- POINT1
本体の強度が増します。 - POINT2
本体の密閉度が高い。 - POINT3
引き出しの底抜けの心配がありません。 - POINT4
引き出しの底とその下の引き出しに入っている衣類が擦れないので衣類が傷みません。 - POINT5
引き出しの衣類が上の段の引き出しに引っ掛からないので、開閉がスムーズです。
Check Point4引き出し内部の奥行
外見は同じでも、引き出しの奥行によって「収納力」が変わります。引き出しを1度抜いてみてください。
表からでは分かりませんが、引き出しの奥行が本体の奥までいっているかどうかで、収納スペースが変わります。
Check Point5引き出しの精度
「スライドレールがないよりあった方が良い」と思っている人が多いと思いますが、高級な婚礼タンスや桐タンスを見ていただければ明らかで、ガタツキが無く「精度が高い」引き出しの作り方をされているタンスは、スライドレールなど無くても引き出しはスムーズに開閉でき、隙間がなく密閉度がより高いため、桐材の調湿効果が存分に発揮できます。
ただ、冬物等厚手の衣類を収納するのに適した深い引き出しの場合、衣類を収納すると重たくなり開閉しづらいため、スライドレールがついていた方が使いやすいというのも事実です。
また、レールは「フルスライドレール」または、「3段引きスライドレール」と呼ばれるものを選んでいただいた方が、よりベターです。そのほうが引き出しを奥まで引き出せるから、大変便利です。
Check Point6桐
チェストとして最高の材質といえば、「桐」です。特にシルクや和服などの高価な衣類を収納するには、桐で出来たチェストがベストです。
その理由は、桐には防湿・防虫効果があるからです。
桐は通気性がよく、湿度を一定に保つため防湿効果があり、虫が嫌う「タンニン」を多く含むことにより防虫効果などが挙げられます。このタンニンは、お茶などに含まれる渋みの成分で、防虫・防腐の働きがあり近年特に注目されています。
多湿な気候風土を持つ日本では、この性質を利用して日本古来の伝統的な技法で桐のタンスを作ってきました。このように桐のタンスには、衣類を守る効果があります。
桐によく似たファルカタ材には上記のような効果はありません。ん。
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